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ジャクソン・ブラウン評伝「HIS LIFE AND MUSIC」発売

この季節になるとなぜか聴きたくなるアルバムが、リンダ・ロンスタット&アン・サヴォイのデュエット・アルバム「Adieu False Heart」。とりわけ最後から二曲目「WALK AWAY RENEE(いとしのルネ)」は何度もリピートをかけて聞き入ってしまう。この曲は1966年、THE LEFT BANKEという米バンドのヒット曲だ。ポップス&ロックの歴史に名を残すバンドではないが、山下達郎の大ヒットクリスマスソングを最初に聴いたときレフト・バンクをとっさに思い出した。レフト・バンクにどんなヒット曲があったのかは忘れてしまったが、僕のどこかに彼らの音楽が刻まれていたのだろう。

「いとしのルネ」は失われた故郷、時間、恋人との思い出、別れが歌われYOU’RE NOT TO BLAME(君のせいじゃない)と結ばれる。この曲はバンドメンバーの16歳の少年が書いた歌らしいのだが、少年と少女(ルネ)の感傷的な歌がリンダ&アンによって歌われると、救い、慰め、赦しの歌となる。聴くつど、温かく敬虔な気持ちになる。

日本で発売されたばかりのジャクソン・ブラウン評伝「HIS LIFE AND MUSIC」マーク・ビーゴ著水木まり訳を読んでいたら、ジャクソン・ブラウンはこの「いとしのルネ」を少年時代の好きな曲にあげている。16歳で彼はセカンド・アルバムに入っている「THESE DAYS」を書き上げていた。早熟な詩人は「いとしのルネ」のテーマの永遠性をすでに知っていた。「THESE DAYS」は「いとしのルネ」の姉妹ソングのようにも聴こえる。

ジャクソン・ブラウン、1948年10月9日生まれ。14枚のオリジナルアルバムを持ちロサンゼルスを中心に活動を続けるシンガー&ソングライター。ファッション、ヘア・スタイル、風貌、1972年のデビュー当時からまったく変わらず永遠の青年のイメージを保ち続けている。ジェイムス・テイラーと同い年なんて誰が信じるだろうか。最近出版される評伝の多くは時間の経過で免罪されるのか、音楽家の負の部分が遠慮なく描かれる。この評伝でもセックス&ドラッグ体験、チャールズ・マンソンに憧れていたこと、ダリル・ハナへの殴打事件のことなど赤裸々に書かれている。完璧な人間などいない、欠点だらけの自分をさらけだしているからジャクソン・ブラウンの作る歌は多くの人の心を打つ。もちろん詩人として作曲家として歌い手としてのすぐれた能力があってこその話だが。

1980年11月21日札幌月寒共進会場で聴いた彼のコンサートは僕にとって生涯忘れることの出来ない感動的なコンサートだ。アメリカでのキャリアの絶頂期のコンサートだったのだが札幌の入りは散々だった。5千人近く集客できる会場のアリーナの半分も埋まったのだろうか。暖房の効きも弱く、会場は寒々しかった。これから熱いコンサートが始まるという雰囲気は微塵もなかった。ジャクソン・ブラウンも背を丸め、手に息を吹きかけながらステージに現われた。しかしそこからの体験は僕の知る「ロック」・コンサートではなかった。ロック&ポップスが楽しいもの、退屈な時間を消費するもの、エネルギーを発散するものではなく強いリズムで刻まれた内省的なものに。二時間強のステージだったと思うのだが、パイプ椅子にくぎ付けになり、尻の痛さも忘れた。今振り返れば、同時代の音楽で初めて体験した「赦し」のコンサートであったのかもしれない。


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Comments

ジャクソン・ブラウン…

ほんとに変わりませんね。
風貌も年をとったとはいえ、今も昔も面影はかわらず、歌も変わらず。

いつも戻ってこれる安心感は、再結成されたイーグルスの新譜も似ているような気がします。

ジャクソン・ブラウンの「プリテンダー」を初めて聞いたのは他でもないケーシー・ジョーンズでした!
A面1曲目のあのくら~い雰囲気から始まるとても内省的な名盤は、あれから今も聞き続けています。

Posted by: へびG | December 22, 2007 at 08:16 PM

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