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LET ME TAKE YOU DOWN            昭和30年代の宮の森

12月9日、10日と札幌は気温が10度をこえ穏やかな天気が続き、積雪もなくなった。この季節としては10数年ぶりの暖かさだそうである。久しぶりに散歩に繰り出してみた。春以降今年はよく歩いた。健康維持(老化防止?)と購入したデジタル一眼レフカメラのトレーニングを兼ねてのウオーキングだったのだが、生まれて以来ずっと住みつづける札幌市中央区は宮の森を歩いた。自然を切り開き住宅が増え、ウサギもいた小山もすっかり整備され、ウオーキングコースに生まれ変わっているが、ところどころに昔の面影を残している。

今日歩いた宮の森緑地と呼ばれる遊歩道は僕らが少年の頃「なまこ山」と呼んだ小山だった。冬斜面がスキー場になった。スキー場といってもリフトがあるわけでなく、斜面に木々が乱立し、でこぼこゲレンデだった。近くにぼうず山、三角山があったから、ここは小学生の度胸試しの直滑降コースとして使われた。あの頃少年のスキーといえば、直滑降かジャンプ。どれだけ斜面の上から滑られるか、どれだけ大きなジャンプ台で飛べるかが勇気の証だった。

このなまこ山は後に知ることになるのだが政商と呼ばれた故萩原吉太郎氏の北炭の所有物だった。この山すそを切り開き住宅地として整地しその土地は横綱大鵬はじめ政治家、スポーツ選手、芸能人たちに贈られた。豪華な別荘風の住宅が立ちはじめ、札幌市のお偉いさん、成金さん,拓銀社員が多く住んだ。そのおかげで不便な立地ながら道路整備、除雪は行き届いた。1970年前後、渡辺淳一が小説でそんな宮の森を新興高級住宅街として描いた。そのあたりから宮の森は高級住宅地として名が定着した。

僕に言わせりゃ、あっちょんぷりけに猫のふんどし?ってなもんですよ。ちゃんちゃらおかしい。あの頃の宮の森は子供の背丈より高い迷子になるほどの牧草地、どじょう、トン魚取り放題の小川、リンゴ農園、蛙の歌が聞こえる水田、学校帰りに寄り道する泉沢牧場、ミンク飼育場があった。そして冬は今とは比べ物にならないくらい極寒で雪は厳しいものだった。吹雪になると授業は中止、班ごとに集団下校した。道路からちょっと奥まった家は道路までスキーを履いた(スキーは履くのだ。でなければ雪に埋まって歩けない)。でもそんな冬を住民は楽しみもした。親の冬の重要な仕事は子供にスキーを教えることだった。子供たちはスキー(カンダハってやつね)に銀パラたっぷり塗って、お尻に割れ目のあるつなぎの股引はいて粗末な防寒着で冬の娯楽を楽しんだ。夕暮れになるとスキーを履いたまま我が家に戻った。石炭ストーブで冷え切った手足を暖める時のしあわせと言ったら・・。北海道のどこにでもあったありふれた光景、場所。

NOTHING IS REAL,AND NOTHING TO GET HUNG ABOUT
でも、目をつむると50年前の宮の森に僕はいつでも行ける。宮の森よ永遠に。

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