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我が永遠の女優たち                          その2 ジョアンナ・シムカス

2001年のアカデミー賞授賞式。アカデミー名誉賞を受賞したのは「いつも心に太陽を」に主演した黒人俳優シドニー・ポワチエ。「野のゆり」の演技でアカデミー主演男優賞を受賞。「手錠のままの脱獄」「招かれざる客」「夜の大走査線」などにも出演した、誰もが認める主役をはれる黒人俳優の先駆け的な人。アカデミー授賞式貴賓席に招かれた家族たち、その中に二人の子供と共にポワチエ氏夫人であるジョアンナ・シムカスの姿を見たときは特別な感慨があった。ふくよかになったけど面影はしっかりあの頃のままだ。

ジョアンナ・シムカスはカナダ出身。フランスに渡り、モデルとしての仕事を重ねるうち女優業に進出。ロベール・アンリコ監督「冒険者たち」レティーシャ役で、知る人ぞ知るあの時代のマドンナ的存在となる。

僕はプレゼント下手だし、プレゼントをもらってもそんなに嬉しくはないタイプ。でもお客様の岡田さんからいただいたヴィデオ・テープは心から嬉しかった。それはジョアンナ・シムカスが主演した1969年作フランス映画ロベール・アンリコ監督の「若草の萌えるころ」。僕がジョアンナ・シムカスのファンだと知って、岡田氏が中古ヴィデオテープで見つけてくれたもの。もう10年以上前の話だ。何度も見直したい映画がある。しかしたった一度観ただけだけれど心にしまっておきたい大切な映画もある。「若草の萌えるころ」は僕にとってその後者の映画だった。だから岡田氏にプレゼントしてもらってからも封印をとくことはなかった。このヴィデオを持っているだけで満足だった。

しかしパンドラの箱は2009年開けられた。理由は分からない。僕の中で何かの踏ん切りがついたのか。40年ぶりに観た「若草の萌えるころ」。原題は「ジタ叔母さん」スペイン紛争に参加行方知らずになった父親のいない彼女を大切に育ててくれたジタ叔母さんが重症の脳卒中に倒れ、いたたまれなく家を出たアニーの一晩の冒険(アバンチュール)を描いた映画。映画の詩人と謳われたロベール・アンリコが当時熱愛していたとも噂されたジョアンナ・シムカスを主役に描いたジョアンナの魅力全開のこの作品。ジョアンナ・シムカス主演の唯一の作品でもある。
Zyoannashimukasu

全編が詩情にあふれ、穏やかなテンポのこの作品は村上春樹のある作品に影響を与えた映画だそうな。断片的なストリーこそあるけれど、この映画はロベール・アンリコがジョアンナ・シムカスに捧げた愛の作品だ。一人の男がどれほど愛した女性の魅力をフィルムに定着させることが出来るか、その成就がこの作品のすべてと言っていい。一晩のアバンチュールを終えて帰宅したアニー、叔母の死を告げられても人生の摂理と受け止めることが出来るようになったアニーの表情の美しさといったら・・。このジョアンナ・シムカスのワン・カットのためにアンリコは作品を撮った。

知り合ったばかりのベース奏者との情事。大人の世界に足を踏み入れる、ジョアンナの裸体。愛し信頼している演出家だからこそ、受諾したと思われるシーン。映画芸術の奥深さに触れたワンシーン。ジョアンナ・シムカスの美しい裸体はその後の僕の人生に多くのサジェッションを与えてくれた。

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