我が永遠の女優たち その3 マリアンヌ・フェイスフル
北海道新聞朝刊のコラムにこんな内容のものがあった。筆者の方が5歳の時重い疫痢にかかり隔離され、長い闘病の退院前夜看護婦さんと一緒に入浴、その玉の肌、豊かな胸・・強烈な印象で永遠のマドンナとして記憶していたのだが、数十年後父親の法事でそのことを母親に話したら、それは私よと笑われたというお話。母親の記憶の変質かも知れず、真偽のほどは定かではないようだが、こういった記憶の変質は、僕にとっても歳を重ねるほどに多くなった。
60年代、僕にとっての重要な映画マリアンヌ・フェイスフル主演「あの胸にもういちど」。まだ寝ている夫のベッドから抜け出し裸体に黒いつなぎのレーサー服を着て、ハーレーを駆って愛人(アラン・ドロン)の元へと向かうマリアンヌ。愛人との過去のこと、これから起こりうること、想像をめぐらし走りつづける、ただそのことだけを描いた映画なのだが、マリアンヌ・フェイスフルの魅力なくしてこの映画は成立しない。

僕にとって忘れられないシーンは、愛人の下へようやくたどり着いたマリアンヌ、ドロンの腕の中へ。熱いキッスのあと、ドロンは黒いつなぎのジッパーを一気に開け豊かなマリアンヌの胸を愛撫する・・。先ほどのコラム筆者の話ではないが、僕にとっての女性の乳房の印象はあの時決まったのではと思えるほど鮮烈だった。あの天使と悪魔が同居するかのようなマリアンヌの白い肌、柔らかで豊かな胸。数十年後ヴィデオを入手した。どきどきしながらその場面を待った。だが・・ない?!あれだけ印象的だった場面がない!この映画はいくつかの編集版があり、ひょっとしてカットされた可能性もあるが、僕自身の記憶の変質も考えられる。その後妄想たくましくシーンを自分のイメージに代えたのかも・・。
マリアンヌ・フェイスフルの「あの胸にもういちど」以来38年ぶりの主演映画「やわらかい手」を観た。実直に生きてきた60歳のマギー。夫を亡くし一人暮らしをしているが一人息子の孫が難病に犯され、高額の医療を受けなければ余命いくばくもないと医師に告げられる。マギーは風俗店の従業員募集のポスターをはたまたま見つけ、面接に。店のオーナーが彼女のやわらかな手に眼をつけ、壁を隔てて男性を慰める仕事を与える。「IRENA PALM」と名づけられた彼女のコーナーは行列が出来、他店のオーナーがスカウトに来るほど大繁盛。XXX肘と名づけられた職業病、息子の誤解、オーナーとの恋などの話が散りばめられた、心温まる映画だ。「あの胸にもういちど」同様マリアンヌの存在感なくして生まれ得なかった名作といって良い。
この映画でのマリアンヌ、たっぷり脂肪のついた体型、疲れた肌、あのオートバイをまたいだ颯爽としたマリアンヌの面影はない。実生活ではアバンギャルドな音楽を生み出し続けるシンガー.。天使のささやきと謳われた歌声もしわがれただみ声に変わった。しかしデビュー曲「AS TEARS GO BY」を今歌うマリアンヌの存在の重さといったら。
17歳で結婚し多くの異性と浮名を流し、その奔放さは僕らを魅了した。どっぷり貫禄のついた今でもその存在感は異彩を放っている。ホリーズ1967年のスマッシュヒット「キャリーアン」はメンバーのグラハム・ナッシュがこっそり憧れのマリアンヌ・フェイスフルに捧げた曲だ。マリアンヌ→キャリイアンヌ。
You're so, so like a woman to me
Oh like a woman to me
So, so like a woman to me
Like a woman to me
CARRIE ANNE by GRAHAM NASH


Comments
La motocyclette 終わりまで残り3分の所でマリアンヌ・フェイスフルの例のシーンがあるの確認しました。 宮田さんの記憶違いじゃありませんよ~。
Posted by: duffydack | January 15, 2009 at 06:45 PM
Duffyduck様
確認ありがとうございました。
たまたまスカイパーフェクトTVで放映されていたので、僕も観ました。
そうですね,たしかにあのシーンです。
しかし僕の記憶はいくつかの場面が合成され思い出の画面になっており、
しかももっともっとアップ画面のはず。
記憶の誇張ですか。
映画もチープでした。
二流のピンク映画まがい。
マリアンヌのオートバイシーンは吹き替え(女装の男性による?)だし、胸のヌードのアップもあれはマリアンヌかなあ?
ジュディ・ギースンのヌードを再見した時も記憶と違いがっかりしましたが・・。
思い出はしっかり心にしまっておいたほうがいいのかも・・。
Posted by: 宮田マスター | January 23, 2009 at 03:44 PM