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Breaking Good!宮田あやこリンダ・ロンシュタットを歌う

アメリカ人気テレビドラマ「ブレイキング・バッド(Breaking Bad)」が終了した。本国では2008年から2013年まで制作されたドラマだ。海外ドラマフェチのあやこに面白そうなドラマがあるよと教えられたのは今年の夏前。ラッキーなことに再放送があったので一気に全62話を観た。ニュー・メキシコ州アルバカーキに住む真面目な肺ガンに冒された高校の化学教師がブルー・メスという極めて純度の高い麻薬を製造し大金を得、悪に身を染めていくドラマなのだが、そのスピーディーなストーリー展開と人の一生とは、家族とは、善悪とはなどを併せて考えさせられる優れたドラマだった。また内容もさることながら使われる音楽の秀逸なこと。ストーリーに合った歌詞を持つ曲が選ばれているのだが、最終回ではエンディングにバッド・フィンガーの「Baby Blue」が使われたし、ジェイムス・テイラー、ノラ・ジョーンズ、アメリカ、JJケール、モンキーズ、トミー・ジェイムス&ションデルス、パット・ブーンなどの曲が実にさりげなく流れるのだ。このドラマ自体に60’s&70’sのアメリカ映画に対するオマージュ的なものが随所に見られ、数十年前の曲が最近の曲に混ざってもなんの違和感を持たず聴くことができる。アメリカ音楽の底の深さを実感させられたドラマでもあった。

宮田あやこコンサート2014「リンダ・ロンシュタットに捧ぐ」を終えた。この日本で,しかも札幌でリンダ・ロンシュタットの曲だけで構成されるコンサート(Alascaは宮田あやこオリジナルソング)が行われること自体AMAZING!である。(自画自賛)。リアル・タイムで彼女の曲を聴いたものとして、リンダはこの日本ではさほど人気がなかった。日本公演も単独公演は二度だけ。だから彼女の名を冠にしても、おそらく観客動員には結びつかないといった予感はあった。予感は残念ながら当たってしまった。

リンダ・ロンシュタットという歌手はアメリカ音楽を具現した存在だった。アリゾナ出身の彼女はメキシコとのボーダーに生まれ、ヒスパニックの血も受け継いでいる。リンダの音楽を聴くということは様々なエッセンスのミクスチュアであるアメリカ音楽の豊潤な世界を体験することでもある。

宮田あやこコンサート2014年はそんなリンダの世界を通して、アメリカ音楽と自分自身の音楽をたどる旅だった。1部はジョージ・ガーシュウィン、リチャード・ロジャーズなど1920年~50年代の楽曲。2部はリンダがブレイクしあやこがプロデビューした70年代の楽曲で構成された。

バンドはこのところ一緒にやってるメンバー。あやことの呼吸も徐々にあってきた。ピアノ&編曲は山下泰司。最近の彼のプレイには目を見晴らされるものがある。ジャズだけではなく自由な音楽の表現者として大きく羽ばたいた。1部ではピアニストとしてスケール感と繊細さを併せ持った演奏を、2部では編曲者としてバンドのバランスを重視し、かつメンバーの能力を存分に引き出した。今回のコンサートの成功の最大の功労者は彼だろう。

数年前からセクション(ジェイムス・テイラーはじめ数多くのシンガーのバックを務めたユニット)のようなバンドを持ちたいと考え、メンバーを集めていた。ドラムの出田寿一はパーカッショニストとしても活動しており劇団四季の札幌公演の打楽器は彼によるものである(もうひとりは黒田氏)。ジム・ケルトナー、レボン・ヘルムの名を好きなドラマーの第一に挙げる彼のドラムは的確で、70年代のシンガー&ソングライターの曲を好きな方なら誰でも彼のドラムを気に入るだろう。来て欲しい時必ず来てくれる、痒いところに手の届く卓越した演奏家である

ベースの釜鈴徹はエレキ&ウッドベースを弾きわけ、あやこの世界を支えてくれる。よく観察していると彼はあやこと一緒に歌っているのだ。歌っているかのようにプレイしている。ポール・マッカートニーのベースが好きだというだけある。その風貌とも相まって頼れるベーシストである。選び抜かれた音で紡がれるグルーブ感は彼ならではのものである。


古舘賢治はいいジャズ・ギタリストがいるよとの評判を聞き、ライブを聴きに行った。しかしそこでの彼はジャズの枠ではくくることのできない、多彩な音楽性を有しており、加えてヴォーカリストとしても(特にハーモニーワーク)に卓越したものを感じた。ソロアルバムを持ちアレンジャーととしても活躍し(佐々木幸男など)M-TOY BOXのメンバーとして全国を回っている超多忙な音楽家だが、今回のコンサートではギタリストとしてはじけてくれた。一部のアコースティックギターワークもさる事ながら、エレクトリックサイドの二部での彼のプレイは当日全ての観客が魅了されたと思う。特にステージ後半「Lose Again」「君の友だち」「Alaska」「悪いあなた」におけるギターワークはアンドリュー・ゴールド、ワディ・ワクテルなどのプレイをリスペクトし今の時代の感覚で蘇らせてくれた。素晴らしいプレイだった。

終演後ロビーで現在札幌に住む水木まりさん(ジャクソン・ブラウン、ニール・ヤング、ジョージ・マーチン本の翻訳家。)と話していたら、ギタリストの佐橋佳幸さんから今回とそっくりな構成のリンダのコンサートがあったと聞いていたそう。「偶然だったのね」と彼女は驚いていたが、こんなコンサートを企画できて幸せだった。もうこれが最後のコンサートだったとしても全然OK。

宮田あやこの歌はリンダに対する敬意と愛情あふれるものだった。パーキンソン病の症状が悪化、車椅子での生活を余儀なくされているというリンダ本人に聴いてもらいたかった。


Photo

撮影 向井宣裕


宮田あやこコンサート2014
「リンダ・ロンシュタットに捧ぐ」セットリスト。

1部
1. I’ve Got A Crush On You
2. Falling In Love Again
3. I Love You For Sentimental Reasons
4. Cry Me A River
5. You Took Advantage Of Me
6. Someone To Watch Over Me
7. But Not For Me
8. What’s New

2部
1. Crazy
2. I Will Always Love You
3. Blue Bayou
4. Lose Again
5. You’ve Got A Friend
6. Alaska
7. You’re No Good
8. Desperado

Encore
1. It’s So Easy
2. Good Night

●2014年10月13日(祝月)
●ことにパトス
● 宮田あやこ ヴォーカル
 山下泰司 ピアノ、キーボード、コーラス&編曲
 出田寿一 ドラム
 釜鈴徹  ウッド&エレクトリックベース、コーラス
 古舘賢治 アコースティック&エレクトリックギター、コーラス

音響 榎本真也(ラバースエージェンシー)
照明 大橋はるな


 

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