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「ファイブ・イージー・ピーセス」を覚えている?

BAR GERSHWINでは毎月一回第三月曜日に「GIRL’S NIGHT IN GERSHWIN」という名の催しがある。ピアニスト山下泰司の伴奏でさまざまな楽器、歌の方たちが熱演を披露するイベントだ。初心者から腕達者まで参加は自由だが、タイトルにあるように女性限定とさせていただいている。月一回の発表会を皆さん心待ちにしてくださっているようで、先月で始めてから一年がたった。

20代から60代まで幅広い年齢の方たちが参加しているが、ヴォーカルで参加の方が一番多い。英語の歌を軽やかに歌うような方たちばかりなので皆さん聡明で趣味も幅広くお持ちの方たちばかりだ。ほぼ最年長参加のKさんは、B.バカラックやE.コステロなどの難曲をレパートリーにしている。ご自身映画のブログを長く続けておりそこではプロ顔負けの鋭い映画評を読むことができる。

そのKさんと映画「ファイブ・イージー・ピーセス」がひょんなことから話題になった。映画「イージー・ライダー」は今の時代、鑑賞に堪えうるかといった話題がきっかけだった。今では忘れ去られているこの「ファイブ・イージー・ピーセス」、1970年に作られたアメリカ映画で、ボブ・ラフェルソンが監督しジャック・ニコルソン主演カレン・ブラック共演、作品賞はじめアカデミー賞4部門にノミネートされ、当時評論家今野雄二さんなどが絶賛し日本での評価も高かった。映画通の方ならお気づきかもしれない、監督のボブ・ラフェルソンは1960年半ばの「モンキーズ・ショー」の立案者で監督を務め、「イージー・ライダー」にも出資しあの時代の波にうまく乗った人である。「イージー」とタイトルがダブるように「イージーライダー、その後」的な趣がこの映画にはある。


期待されたピアニストであったにもかかわらず、現在はあらゆる責任を回避し(ラストシーンは妊娠した彼女を置き去りにする)、その日暮らしを続ける主人公(ジャック・ニコルソン)はあの時代の象徴的な人物像だったように思う。今の時代の視点からみるととんでもなく情けない男であるが、戦い終えて日が暮れて・・・あの時代こんな男をどこか許容するムードがあった。皆つかのまのやさしさに逃げ込んだ。

音楽でもハードなロックよりも内省的なシンガー&ソングライターの音楽が支持された時代だった。思わせぶりの内容の曲が世の中にあふれた。今では気恥ずかしくて聴けない曲が多い。でも、なのだ。スチューデントパワー(学生運動)に参加した者も、ヒッピー・ムーブメントに賛同した者も、ノンポリを通した者もあの時代の空気の中で自分なりの生き方を探していた。近道を行った者も遠回りしてしまった者も今じゃそれなりの道を歩いているんじゃないかな。あの頃の思想(生き方)にとらわれている人ほどひょっとして立ち止まったままだったりして。

今の自分の視点で昔を振り返ると、きっと皆穴があったら入りたくなってしまうのだろうけど、そんな自分を愛おしんであげよう。自分なりに精いっぱいやっていた、きっと。

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